現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
なんだ、覚悟していてって!
なにを覚悟すればいいんだ!


岡田さんは真面目な人だから、冗談で言ったんじゃないってことはよく分かる。
だからこそ、余計に動揺が隠しきれない。

あのとき、岡田さんの私を見る瞳がやけに情熱的で、ぞわっと背筋が粟立った。
怖いとかそういうんじゃなくて、認めたくはないけど、それは一種の期待の表れ。

これからどうなるんだろうって、変な期待があのとき、私の身体中に走った。

冗談ではないから、困惑する。
このまま流れに身をまかせるべきなのか、それともどこかで歯止めをかけるべきなのか。

そう思うのは、きっと自分に自信が持ててないからだ。


口では今のままの私でいい、と言ってても、いつか嫌がられてしまわないか。
その前に自分自身が少しでも変われるのか。

それが不安で仕方ない。


「はあ……」

灰色の天井に向かって大きく息を吐く。


私がそう不安がるのは、多分岡田さんを意識し始めているからなんだよね。
今日の私が少しおかしいのも、きっとそれ。


岡田さんはいい男だ。
誰が見ても、そう思う。

だからこそ、怖くて仕方ない。


それに加えて、岡田さんがあんなことを言ってしまったことで、もう後に引けなくなってしまうんじゃないかって不安もある。

岡田さんは、本当にいいのだろうか?

こんな女でも?
本当に?


悩みは尽きない。
考えても考えても答えは出ることはない。

無情にも終了五分前のベルが鳴り、私はもやもやとした思いを抱えたまま、午後の仕事を再開することとなった。
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