現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
***

「……と、いうわけでね。色々あったのよ」

その週の土曜日。

久しぶりに友達である、岩舘咲良(さくら)に連絡を取って飲みに行くことになった。

咲良は、数少ない高校の同性の友人。
私と同じように機械いじりの好きな変わった女で、昔はよく一緒になってバイクをいじったりして遊んでいた。

彼女は今バイクメーカーの工場で働いている。
そこの職場で出会った、見た目が少しイカつい男と去年結婚した。
まだ子供はいないが、夫婦の仲はとても良く、家族が増えるのも時間の問題だろう。

ちなみに外見は背も小さくほわっとしていて、機械をいじるようには全く見えないが、ナナハンを軽々と転がせちゃうような女である。

そんなギャップからか、咲良は昔から物凄くモテていた。
男が途切れたことがなかったんじゃないか?っていうくらい。

元々工業高校自体が女子の絶対数が少ないから、多少アレでもモテるわけだけど、咲良は顔も可愛かったもんだから、まあそのモテ方といったらとんでもなかった。

では私は、というと。

まあ、それなりに。
どちらかというと、友達どまりって感じであまり浮ついた話はなかったかな。


……と、昔の話は置いといて。

今回咲良に連絡したのは、この自分のもやっとした思いを、誰かに打ち明けたかったから。


ひとりで抱え込むのは、もう限界だった。

仕事が終わって家に戻り、どんなにお酒を飲んでも、ずっとそのことが頭をぐるぐると回って気持ちよく酔うことが出来ない。

毎日の仕事のストレスを発散するためのアルコールなのに、酔えずに益々鬱憤がたまるのが、どうにも我慢ならなかった。

だから、友達と飲んで今までのことを話して、ついでに恋愛豊富な咲良からアドバイスでも貰えば、少しは気も晴れるだろうと思い、誘ったわけで。

< 39 / 133 >

この作品をシェア

pagetop