現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
――どのくらい走っただろうか。
着いた先は、夜景の見える高台。
夜景を正面に見える位置に車を止めると、エンジンを切る。
途端に音楽が止み、しん、となる。
岡田さんはシートベルトを外すと、ハンドルに両腕をかけ、目の前の夜景を眺めていた。
私はどうしたらいいか分からなくなって、目をキョロキョロとさせる。
この状況はどうしたら……。
こんなに重々しい状態で、どう切り出せばいいのか。
そんなことを考えていると、岡田さんの方から口を開いた。
「……どうして、無視したの?」
その声には、もう先程のまでの怒気は含んではおらず。
どちらかというと、少し悲し気な感じに聞こえた。
岡田さんに目線を向けると、薄暗くても私をすでに見つめているのが分かった。
その瞳に、切ない感情が含まれているのも。
ズキリと、胸が痛む。
なんでそんな瞳で、私を見つめるの?
「……それは」
「今日だけじゃない。土曜日に連絡しても、返ってきたのは次の日。しかも一回だけで、それ以降なにも里緒奈から連絡してくることはなかったよね」
「……ごめん」
それしか言えなかった。
もしかしたら仕事で……、って言いわけしても良かったけど、今の状態じゃ信じてくれそうにもないから。
岡田さんは私が連絡をしたことに気付いていた。
でも敢えて掛け直さなかった。
それはなぜ……?
「もしかして、里緒奈他に好きな人でもいるの?」
「え?」
突拍子もない言葉に、驚く。
岡田さんはますます苦しそうな表情を浮かべている。
好きな人……?
私に……?