現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
「どういうこと?」

「俺、見たんだ。……土曜日、飲み屋の前で男と楽しそうに話をしてるのをさ。俺には見せない屈託のない笑顔で話してるから、本当は好きな奴がいるのに、嫌々俺に付き合ってくれてたんじゃないかって」


……飲み屋の前で……?

先週の土曜日の記憶を手繰り寄せる。


……あ。
もしかして、それって光輝さんが迎えに来たとき?

たしかに少しの間飲み屋の前で話をしてた。
いやでも、あのとき私の隣に咲良いたし。

っていうか、あのとき近くに岡田さんがいたってことか!
それでたまたまあの場面を見られていた……。

「……うんとね、あの人は私の友達の旦那さんだよ。光輝さんって言うんだけど、ふたりきりじゃなく、私の隣に奥さんである友達の咲良がいたと思うんだけど……」

「またまた……。嘘つかなくてもいいよ」

岡田さんは少し投げやりに、そう言葉を投げつけた。

ちょっと待て、そんな変なところで嘘なんかつかないし!
変な誤解されたままでは、咲良たちに悪い。

「嘘じゃないってば。ちょっとこれ見て」

私は携帯を取り出し、電源を入れると写真のフォルダーを開いた。
下にスワイプしていき、ある写真を選択すると岡田さんに見せる。

「私と話をしていた人、かなり特徴があるから覚えているでしょ?ほら、この人。紛れもなく友達の旦那さんだよ」

それは咲良の結婚式での一枚。
咲良と光輝さんがふたり並んでいる後ろに、私がピースしている写真だ。

岡田さんは最初、信じられないと眉間に皺を寄せた表情でその写真を見たが、まじまじと見ていくにつれ表情が変わっていく。

「……あ」

「分かった?あのときたしかに咲良も隣にいたの。……もしかしたら背が低くて小さいから、岡田さんからは見えなかったかもしれないけど」

咲良は私と並んでも、私の肩ほどくらいしか背がない。
加えて光輝さんは190センチ近くある大きな人だから、『凸凹コンビ』なんて言われてたりしてた。

岡田さんがどの場所から私たちを見たのか分からないけど、場所によっちゃ咲良が見えなかったのは仕方がないことだと思う。

でもだからって、そんな私が男の人と話してたから、そう簡単に判断されても……。
第一あんな男だらけの職場で働いてるんだもん。男の人と話す方が多いくらいなのに……。

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