現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
……あ、そうか。


「もしかして、電話もメールもしてこなかったのって……」

あることに気付き私がそう言うと、岡田さんはバツの悪そうな顔をして、頭をくしゃくしゃと乱す。
そして、

「……っ!ああもう!そうだよ!ショックで連絡出来なかったんだよ!里緒奈に好きな人がいたんだって落ち込んでたんだって!」

と、吐き捨てるように言った。

薄暗くてぼんやりとしか見えないが、岡田さんの顔が真っ赤になっているのが分かった。

勝手に思い込んで。
勝手に悩んで。
勝手に落ち込んで。

そんな岡田さんを想像したら、なぜか笑いが込み上げてしまう。

「……ぷっ」

「なんだよ。なにが面白いの」

「いや、なんか可愛いなって思って。どうでもいいことで、拗ねてるんだもん」


私よりも大人でしっかりしている人だと思ってたのに、こんな子供みたいなところもあったなんて。


「里緒奈こそ、なんで無視したんだよ」

「え?」

「俺はちゃんと本当のことを言ったぞ?里緒奈もちゃんと聞かせてよ。どうしてメールも俺のことも無視したのか」

岡田さんは真剣な表情で私を見つめている。

もう逃げられないと思った。
そんな瞳で見つめられたら、もう言うしかない。

「あのとき、女の人と歩いていたでしょ?それが、凄く絵になっててさ。作業着で化粧もろくにしてない私と違って、岡田さんはああいう綺麗な女の人と一緒にいるのが、本当はいいんだよなって、そう思ったら、なんか自分が恥ずかしくなって、それで……」

「で、無視したって?」

「……うん」
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