現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
「……その顔は、反則だな」

ぼそり、と岡田さんは眉を顰めてそう呟く。

「……え?」

「誘っているようにしか見えない。……誰にも見せられないよ、その顔」

その瞬間、岡田さんの腕が首に回って、私の唇に温かいものが触れた。
驚く間もなく、岡田さんの舌が私の唇をこじ開け、押し入る。


――濃厚なキス。

抱きしめられるような形で唇を塞がれ、離れようと思ってもどうにもならない。
そのうち、だんだんと気持ちよくなってしまって、どうでもよくなってしまう。

だって、こんなに気持ちがいい。
執拗に唇を吸われ、中を這われて、冷静でいられるわけがない。


岡田さんとの未来は、なにが待っているんだろう?

前みたいに、冷めたりしないかな?
岡田さんも、私に飽きたりしないだろうか。


……でも、そんなこと考えてもどうしようもないよね。
なるようにしか、ならない。


本当は、先に進むのは怖い。

……だけど、一歩進んでみようか。


――岡田さんが望むなら。

この身を岡田さんに預けてみよう。



やがてゆっくりと唇が離れた。
お互い肩で息をしながら、見つめ合う。

「……付き合おうよ、里緒奈。後悔はさせないからさ」

畳みかけるように、岡田さんはそう言った。
私はまだ上手く回らない頭で応える。

「……いいの?本当に後悔するかもよ?」

岡田さんは笑みを浮かべて頷いた。
そして優しく私の頭を撫でる。

「後悔なんてしないよ。俺は里緒奈さえ隣にいてくれたらそれでいい。俺が後悔するとしたら、里緒奈に嫌われるときだけかな」

そう言うと、再び私を強く抱きしめた。

ほのかに香っていた岡田さんの匂いが強く香る。
思った以上の厚い胸板に、ドキドキしながらも不思議と安心してしまった。

「これから、……よろしくお願いします」

「こちらこそ」

岡田さんはそう言うと、また唇が落とされた。

そのキスは、最初のキスよりももっと甘く。


……そして、忘れられないものになった。


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