現場系男子にご用心！？【長編改訂版】

お腹も満たされ落ち着いたところで、ふと部屋を見渡した。

前よりは片付いて、スッキリとした空間になっている。
テレビも付いていないから、家の外でときたま徹車の音が微かに聞こえるだけで、とても静かだ。

……なんか寂しいな。
岡田さんの声が聞きたいや。

今までは、そんな静けさをなんとも思わなくて、むしろ誰かといることが煩わしいと思っていたのに。
そんな感覚が変わったのも、きっと岡田さんが隣にいるようになったからだな。

お酒の勢いもあってか携帯を取り出すと、着信履歴から岡田さんを押して、電話を掛けてみる。

耳もとでコール音が鳴る。
だが一向に出る気配はない。

まだ仕事のようだ。時間を見ると二十時を回ったところ。
十回ほど繰り返されたところで、電話を切った。

うちの工場と違って、定時で帰れるような所じゃないし、仕方ないか。
むしろ仕事の邪魔をしたかもしれない、そう思って少し落ち込んでしまう。

余計なことしなきゃ良かったかな。
あっちから掛かってくるの、待っていれば良かった。

そう思っていると、携帯が震える。
ディスプレイに『岡田さん』と出ていて、私は慌てて電話に出た。

『ああ！ゴメン！電話に出られなくて！！どうした？』

そう言う岡田さんの声は、少し落ち着きが無いようだった。

急いでいるような、慌てているような。
でも、聞きたかった声に嬉しくて、胸が高鳴った。

「い、いや特になにも用はないんだけどね……。ごめん、仕事中だったでしょ？」

『え？ああ、まあそうなんだけど！でも里緒奈から掛かって来たし、何事かと思って、休憩取って来たとこ。なんでもないならいいんだ、安心』

やっぱり仕事だった！
と、掛けてしまったことに罪悪感を覚える。