現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
結局、腰の立たない私に変わり、やけにスッキリとした岡田さんが、冷蔵庫の中にある限られた食材で朝ご飯を作ってくれた。

自分の家でまで、やってもらうのは非常に申し訳ないと思うんだけど、でもこればかりは仕方ない。

岡田さんが悪い。
体力ありすぎだよ!全くもう!

「……いただきます」

「大丈夫?会社行けそう?」

「……なんとか。こんなんで休んでたら社会人として失格だよ。……もう仕事前は禁止だからね!」

「はは、ごめんごめん」

食材が少なかったから、ご飯と目玉焼きとインスタントの味噌汁だったけど……、美味しい。
ああ、身に染みるなあ、本当に。

ニュースを見ながらご飯を食べ、そして仕事へ行く準備をする。
岡田さんは昨日と同じ服だから一回家に寄るそうで、少し早めに家を出ることにした。

車に乗ってエンジンを掛ける。
そのとき、岡田さんが突然話を切り出した。

「そういえば、そろそろクリスマスだよね」

「そうだねぇ」

……クリスマスかぁ。

今まではちょっぴり高いお酒を飲むだけで、特別な日でもなんでもなかったけど、今年は……そうか。
岡田さんと初めてのクリスマスになるんだ。

「なんか予定あったりする?ちょうど土曜日で仕事休みだよね?」

「いや、特には……」

「じゃあ、クリスマスとその次の日も、一緒にいられるかな?」

岡田さんは運転をしながらも、その顔はとても嬉しそうだ。

もちろん、私も。
一緒にいられるって思ったら、自然と嬉しさが込み上げてしまう。

「……うん」

でも、その思いを岡田さんには恥ずかしくて、返事をするだけしか出来なかった。

「どっか行きたいところある?土曜日だしどこに行っても混んでるとは思うけど」

「私はどこでもいいよ。最終的にお酒が飲めれば」

「あはは、さすがだね!かの言う俺もそうなんだけど。じゃあ昼は適当にドライブして、夜はどうする?レストランとかちょっと洒落たところでお酒でも飲む?」

「かしこまるのはちょっとなぁ……。レストランで飲むなら、いつも連れて行ってくれる居酒屋がいいな」

「了解。里緒奈らしいね。俺もそっちの方がいい。じゃあ予約入れとくよ」

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