現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
準備をしながら、岡田さんの入れてくれたコーヒーを飲んで少しまったりしたあと、外出する。

行き先は特に決まっていない。
車を走らせ、気になったお店に入ったり、喫茶店でお茶をしながら雑談したり。

クリスマスなだけあって車も人も多かったが、岡田さんと話をしながらだったからか、渋滞も混雑もあまり気にならなかった。


「さすがクリスマス。賑やかだな」

「どこ行っても人ばっかりで、疲れたでしょ?」

「まあ、少しね。でも里緒奈といるから問題ないよ」

そんな話をしながらいる場所は、付き合おうと言われたあの夜景の見える高台だ。
街の喧騒に疲れ、癒しを求めて結局この場所に来てしまった。

山に近い場所だからか、この場所では雪がチラついている。

まだ暗くなる時間でもないため、夜のように輝くように美しい景色でもないが、それでも真っ白なキャンバスに浮かび上がる街並みのコラボレーションは素晴らしい。

私たちの他にも何台か車が止まっていて、コートを着込み外でその景色を眺めるカップルや、車の中で話をしながらいるカップルがいた。

私たちも来た当初は外で話をしていたが、あまりにも寒くて、早々に車の中に避難した。

車の中はエアコンが効いていて、とても暖かい。
加えていつものように、スロウなジャズが車内に流れている。

「ずっと気になってんたんだけど、和宏くんってジャズが好きなの?」

「うん。昔からオーディオが趣味でね。マンションでは騒音になりかねないから大した機械はないけど、実家には一通り揃ってるんだ。それでレコードのジャズを聴くのが好きでさ、これも自分のレコードから焼いたやつ。なかなかいい音してるでしょ?」

「へえ、意外な趣味」

「親父が好きで、その影響かな。俺はもっぱら親父が壊したオーディオを直してたけど。でもそうやってオーディオに触れていたら、いつの間にか俺もって感じ」
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