現場系男子にご用心!?【長編改訂版】

でも、それを岡田さんは言わなかった。
言葉では"気にしないで"と言ってても、表情はとても冴えなかった。

あの表情に、一体なんの意味が含まれているのか。
それが一番気になってしまう。

「うーん……、なんだろうね。それを岡田さんは言わないの?」

「教えてはくれませんでした」

「そう……」


秋元さんはそう言ったきり、なにか考えているのだろうか、箸を口元に付けたまま動かない。
少し無言の時があったあと、口を開く。

「岡田さんにも色々と考えることがあるのよ、きっと。別に会えないわけじゃないんだし、ゆっくりと話し合っていくことね。真壁さんもあまり、思い詰めないほうがいいわ」

「そう……ですね」

秋元さんはまたお弁当を食べ始める。
私は秋元さんが食べている姿を、ぼおっと見ていた。

そうだ。
秋元さんの言う通り、ひとりで考えてたって答えは出ない。

岡田さんがどうして結婚を焦るのか、今度会ったときにゆっくりと聞けばいい。
気にするなって言われたって、そんなのあんな顔されたら気にするに決まってるじゃん。

岡田さんの気持ちに応えたい。
だからこそ、その部分はちゃんと聞いておかなきゃ。

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