現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
「正月はどうするんだ?やっぱあれか、岡田ちゃんと過ごすのか」

「いや、まだなにも決まってないですよ。とりあえず実家には戻りますけど」

「休み明け、いい報告待ってるぞ」

「なんですか、それ……」

課長の『いい報告』というのは、多分"結婚"のことなんだろう。
でも、今そのことで悩んでいるとは言えず、課長には少し呆れたように言葉を返すしか出来なかった。


全ての掃除が終わり、食堂で全従業員が集まって工場長のありがたいお言葉を聞く。

その話が終わると全員にお酒が配られ、工場長の「今年一年、無事に終わることが出来ました。乾杯!」との声とともに、一斉に口に運んだ。

それから食堂のテーブルにはオードブルやお寿司、つまみなどが置かれ、そのまま飲み会が開かれる。

これは毎年、この工場の恒例行事だ。
私は相変わらず課長に掴まり、課長のくどい話に耳を傾けながらも、ポケットに入っていた携帯を気にしていた。

あちらも仕事納めだし、今頃長期休み前の追い込みをしているか、同じように飲んでいる頃なんだろうと思う。

だけど、もしかしたらなにか来るかもしれないと、ずっと気にしながら飲んでいる。

というのも、その飲み会の合間トイレに抜け出し、そのときに岡田さんに電話をしたから。
けれど何回かのコール音のあと、留守番電話に切り替わってしまって、結局岡田さんに繋がることはなかった。

仕方がないので、メールを入れた。

『明日、会える時間ある?』と。

その問いに対して、岡田さんからメールが返ってきたのは、夜もだいぶ遅くなって日付が変わる頃。


たった一言、『昼頃行く』とだけ書かれていた。

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