現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
――次の日。
メール通り、昼頃岡田さんは家にやってきた。

「……久しぶり」

たった何日しか会ってないのに、岡田さんはやたらやつれたように見えた。
顔色もあまり良くないし、いつものような覇気がない。
そして、声も少し弱々しく聞こえる。

「仕事、忙しかったの?顔色が悪いよ……?」

「毎日深夜まで残業だったからね。なんとか年内中の仕事は終わらせたけど。ありがとう、心配してくれて」

「そんな顔してたら誰だって心配するよ!……ごめん、無理に会ってなんて連絡しちゃって」

「里緒奈に会えるなら、無理するよそりゃ」


そう言う岡田さんが妙に愛おしくて、それでいて切なくなって、思わず抱きついた。

岡田さんは、私が自分からそんな行動をするとは思ってもみなかったんだろう、驚いて少し身体を跳ねらせる。
けどすぐに、私に腕を回してくれた。

「どうした?里緒奈。里緒奈から来てくれるの嬉しいけど」

「なんとなく、抱きしめたかっただけ。……お疲れさま、和宏くん。よく頑張ったね」

岡田さんはその言葉に、さらに抱きしめる腕を強くする。
何日かぶりの岡田さんの温もりはどれよりも温かくて、寂しくて冷えていた心もほわっと温かくなった。

少しの間、ふたり抱きしめ合っていた。
お互いが触れあえなかった時間を取り戻すように。




「……ところで里緒奈はいつ実家に帰るの?」

やがて身体を離すと、岡田さんはそう私に聞いた。

「明日帰ろうかなと思ってるけど。岡田さんは?」

「俺は今日かな。このまま行けるように荷物乗せて来たんだ。でも、里緒奈に会ったら帰りたくなくなった」

「え?」

「あはは、嘘ウソ。今日は里緒奈の顔見たら帰ろうと思ってたから。里緒奈も昨日まで忙しかったんだろ?ゆっくり今日は休みなよ」
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