現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
岡田さんの最初の言葉に少しドキッとしてしまったが、そのあとの言葉に少し寂しさを覚える。
いつもは帰るなんて言わなかったのに、今日は素直に帰ると言われてしまったからだ。

やっぱり、岡田さん変だ。
いつもの岡田さんじゃない。


「ねえ、和宏くん」

「なに?」

「私になにか隠していることでもある?」


ストレートに言葉をぶつける。
岡田さんは私の言葉に対して、目線を横にずらす。

けどすぐに私の方に視線を向け直した。そして、

「隠しごと?ないよ、なにも」

そう言って、少し困ったように笑った。


……嘘だ。
その顔は、なにか隠してる。

結婚を急ぐ原因は、きっとその隠していることだ。
それが分かれば、自分も納得出来るかもしれないのに、どうして私に教えてくれない?

「……うそつき」

私はそれだけ言うと、唇を噛んだ。

言ってくれないのが悔しくて、ないと嘘をつかれたのがショックで涙が出そうになる。
だけど、ここで涙は見せちゃいけないと思って、唇を噛んで堪えた。

だって、泣いたら宥められて終わりそうだと思ったから。

岡田さんは俯く私をじっと見ていたようだった。

そのときの表情は分からない。
でも、なんとなく岡田さんも苦しい表情だったんだと思う。

「ゴメン。……じゃあ、俺はもう行くね。よいお年を。また連絡する」

そう言った言葉が少しだけ、震えていたから。

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