現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
「……っ」

岡田さんが部屋からいなくなって、そこでようやく私の瞳から涙が零れ落ちた。

泣いて呼吸が大きく乱れる。
苦しくて、辛くて、その場でしゃがみ込んでしまう。

涙は依然止まらなかった。


……結局、なにも言ってくれないまま、岡田さんはいなくなってしまった。

本当はもっと他に話したいこともあったのに、それすら話すことも出来なくて、、まるであまり聞かれたくないと逃げるように行ってしまった。

どうして?
なにか言えない理由でもあるの?

色んな感情が入り乱れる。

言ってくれない怒りと、嘘をつかれた苦しさと、そして、いなくなってしまった悲しさと。

そのとき、私は気が付いたんだ。
いつの間にか、私の心の中は岡田さんでいっぱいになっていたってことに。

「……ああ。……ハハッ、そう、なんだ」

今更なことに、ついつい乾いた笑いが出てしまう。

バカだなぁ、私。
こんなときに気付いちゃうなんて。

知らない間にこんなに好きになっていたんだ、岡田さんのこと。

涙が出ちゃうくらいに、いっぱいに。

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