最後の別れ
「果歩ちゃん。初めましてかな?それとも僕のこと最初から気付いてたかな?」




はじめて、話しかけられた。気持ち悪い。




どうしよう、怖い。声が出ない。




「あれ?怖がってるの?大丈夫だよ、僕は果歩ちゃんが大好きなんだよ。今日は勇気を出して話しかけてみたんだけど…まぁ僕達は好き同士だから後は言わなくてもわかるよね」




不審者が私に触れてくる




「や、やめて!!触らないで!!!」




その瞬間誰かが男の腕を掴んだ




見覚えのある顔、背の高さ、安心する匂い




「智也?!?!」



「果歩ちゃん…誰こいつ…もしかして彼氏じゃないよね?果歩ちゃん僕のことが好きだもんね。こいつのことなんて…どうとも思ってないよね、そうだよね、殺してもなんとも思わないよね果歩ちゃん。」




な、なに言ってるのこいつ…




危ない、智也が、危ない。




「智也!逃げ…て……」




次の瞬間私の目に写ったのは智也に刃物を突き刺している不審者と傷口を抑えて倒れ込む智也




「や、やだ、やだやだやだ…!!!!」




なにこれ、なんで智也が、ねえどうして




「ぼ、僕、脅すつもりだったんだよ、か、果歩ちゃん、信じてくれるよね…」




そんな言葉なんて耳に入らなかった。


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