正しい男の選び方
面倒な客
金曜日の夕方、長澤葉子は、「ワールドフーズ」のスパイス棚の前で怒りを沸騰させていた。
500種類は軽く超えるスパイスの一点、一点、足りないものがないか在庫の確認をしているのである。
スパイスがでたらめに入れ替えられて、棚一帯がぐちゃぐちゃになっている。
誰がこんなしょうもないいたずらをするんだよッッ!!
似たようなスパイスが多くてこんがらがりそうだった。
手元の表とにらめっこしていると、ふいに後ろから声をかけられる。
「クレオールスパイス、どこですか」
クレオールスパイス? 何じゃ、そりゃ。
知るかーッッ! 自分で探せェ!!
と、言いたいのをぐっとこらえて、葉子はにこやかな営業スマイルを作った。
「ク、クレオールスパイスですね?」
聞き慣れない言葉に思わずどもる。
「んー、この辺かなァ?」
男は声をかけておきながら、葉子の事など一向に気にする気配もなく、スパイス棚を端からチェックしていく。
葉子は、その様子を、つい見るともなしに見ていた。
薄いピンクのパリッとしたシャツの前ボタンを3つほど大きく開けている。自分がハンサムで女にモテる、と知っている男の格好だ。
ちらりと男の顔を見れば、なるほど、確かに整った甘い顔立ちの男だった。
500種類は軽く超えるスパイスの一点、一点、足りないものがないか在庫の確認をしているのである。
スパイスがでたらめに入れ替えられて、棚一帯がぐちゃぐちゃになっている。
誰がこんなしょうもないいたずらをするんだよッッ!!
似たようなスパイスが多くてこんがらがりそうだった。
手元の表とにらめっこしていると、ふいに後ろから声をかけられる。
「クレオールスパイス、どこですか」
クレオールスパイス? 何じゃ、そりゃ。
知るかーッッ! 自分で探せェ!!
と、言いたいのをぐっとこらえて、葉子はにこやかな営業スマイルを作った。
「ク、クレオールスパイスですね?」
聞き慣れない言葉に思わずどもる。
「んー、この辺かなァ?」
男は声をかけておきながら、葉子の事など一向に気にする気配もなく、スパイス棚を端からチェックしていく。
葉子は、その様子を、つい見るともなしに見ていた。
薄いピンクのパリッとしたシャツの前ボタンを3つほど大きく開けている。自分がハンサムで女にモテる、と知っている男の格好だ。
ちらりと男の顔を見れば、なるほど、確かに整った甘い顔立ちの男だった。
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