正しい男の選び方

葉子は秘かにほっと胸をなで下ろす。政好は浩平との関係を突っ込んでくる気はなさそうだった。

結局、三日間の売り上げは、40万ちょっとになり、寄付も20万近く集まった。
政好が金額を読みあげると、みんなから歓声があがった。

Tシャツやエコバッグはまだまだ残っていたけれども、何とか黒字になりそうだったし、この二つはこれからもオンラインなどでも売っていこう、っていうことで話はまとまった。

片付けをしながら、葉子は明るく政好に話しかけた。

「天気でこんなに売り上げが違うなんてビックリだね」

「特に、こういうイベントは天気に左右されるんだろうなー」

最終日はうまく言って余裕があったのか、政好も機嫌良く答えた。
二人はああでもない、こうでもないと問題点と対策などを話していたが、政好がやがてポツリと言った。

「昨日、当たっちゃってゴメン。なんかすげーテンパってて全然余裕なかった……」

葉子はふふふと笑った。

「うん。余裕なかった」

「みっともないとこ見せちゃった」

政好は頭をぽりぽりと掻いている。
葉子は、それが、恥ずかしい時の彼のクセなのだ、ということはちゃんと知っている。

「さ、じゃあ、あとはこれを車に積んじゃえば終わりだね」

「うん。……ところでさ、これ、どうする?」


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