正しい男の選び方
政好が指差したのは、浩平たちが買ったものだった。
結局、あの後、二人は戻って来る事なく、荷物はそのままそこに残されていたのだ。
「捨てるわけにもいかないし……私、会社に持ってって彼に渡すよ」
「結構かさばるけど大丈夫?」
「まあ、何とかなるでしょ」
とは言え、持ち上げると結構重い。
「取りあえず、今日は家まで送って行くね。それ、電車で持って帰るの大変だよね」
「あー……うん。じゃあ、お願いします」
そんなわけで、政好に送ってもらうことになった。
途中の車の中。二人とも言葉少なになる。ほとんど無言だった。
送ってもらったら、家にあげたほうがいいんだろうか……ってことはつまり、アレだよな……
だけど、そのままバイバイするのも白々しいし……
葉子は必死になって考える。
そもそも、私は、政好とやりたいんだろうか?
自問するが答えがでない。
ああー……これが、浩平だったら、
アイツだったら、受け入れるのも断るのももっと簡単だ。ヘンな気を使ったり憶測したりする必要がないから
そんなことを考えているうちにあっという間に葉子の家へ着いた。