正しい男の選び方
「どうしたの? さっきからチラチラしてるけど、誰か探してるの?」
政好がメニューを閉じながらにっこり微笑む。
「……ううん、全然」
葉子は大急ぎで注文して、大急ぎで食べて、大急ぎで店を出ようと慌てた。
なるべく早く出てきそうなものを注文する。ビールもジョッキが来るなり、ごくごく飲み始めた。
「どうしたの、そんなに急いで食べて」
政好が無邪気な顔で聞く。
うぅ…… 葉子は、もう罪悪感で一杯だった。
「うん。すごくお腹が空いてるから」
そうやって乗り切ろうとしていたのに、皿から目をあげて上を向いた途端、奥の方から歩いて来た二人とばっちり目が合ってしまった。
浩平はカナと一緒だった……。
葉子があまりに驚いて固まってしまったから、政好も二人にすぐ気がついた。
浩平とカナは楽しそうに笑いながらこちらに近づいてくる。