正しい男の選び方
カナは葉子の話に感心したよう言う。
「すごいなー。私だったら、地球のために自分の生活を犠牲にするとか出来ないなぁ」
「だよね」
浩平も相づちをうつ。政好が穏やかに口を挟んだ。
「そんな大層なことじゃないんですよ。自分たちで何か出来る事があればやろう、っていうぐらいの話ですから」
「でもさ、結局そんなの自己満足だろ? 現実にはそれでアマゾンの森林の伐採が食い止められるわけじゃない」
自分たちのやっていることを浩平にあっさり「自己満足」で片付けられてしまって、葉子はカチンときた。
何か言い返してやろうーーと思った時。
「そうかもしれません。でも、僕は、自分の行為が未来を変えられると信じてますし、そう思って行動している彼女を尊敬もしています。
僕は、ベジタリアンではありませんが、彼女がベジタリアンであることは素晴らしいと思っています」
政好は浩平の目をじっと見つめて静かに語りかけた。
「……ホラね、長澤さんには、オレなんかよりコイツの方がずっとお似合いだろ」
「ホントね。あなたたちがお揃いのTシャツなのにね」
カナがチクリと釘を刺す。
浩平が「もう、そのツッコミやめて。ただの偶然なんだから」とカナの頭を中指でこんと軽くたたいて、彼女を抱き寄せた。
そして耳元で囁く。
「妬いてくれてすげー嬉しいけど」
葉子の方が二人を見てられなかった。
雰囲気を変えたくて話をする。