正しい男の選び方
それから秋祭りの前のようないつもの日常が戻って来た。
葉子は、品出ししたり、在庫確認したり、レジに立ったり、時にはパートさんの管理もある。
要するに何でもするのだが、徐々に仕入れの発注を任せてもらえるようにもなってきていた。
浩平は相変わらず、気ままな買い物をしていくことが多かったが、ここのところ一緒にいる女はカナばかりだ。
とうとうカナと付き合い始めて、他の女は切ったのだろうか?
葉子はあれ以来浩平と話をしていない。
あのときの政好と浩平のやり取りが不快なまま葉子のわだかまりとなっていた。
一方で、政好との関係は順調だった。
中田と恵と四人で出かけることもちょくちょくある。四人で臨海公園に行ったときは楽しかった。
政好が暗闇のなかでそっと手を握ってくれていた。
「アマゾンの森林を守る会」でもすっかり公認のカップルとして認識されているように思う。
政好は、照れ屋で奥手で、実はまだ、ちゃんと告白もされてなかったし、ベッドをともにしてもいないのだが、でも、葉子のことを大事にしてくれているのはしっかり感じていた。
最近、ようやく手をつなぐことに慣れてきたような状況であれば、イロイロ起きるのはもうちょっと先の事になりそうである。