正しい男の選び方
「……さあ?」
「ちょっと寄ってみようよ」
「え? え??」
行ってみるとそこは駄菓子屋だった。
「うわー、イマドキこんな店、あるんだ……」
懐かしいお菓子がところせましと並んでいる。葉子は思わずはしゃいだ。
「これ、懐かしー」
葉子が叫び声をあげる。二人は風車や水鉄砲その他、駄菓子をいろいろ買って、最後に綿あめ(!)まで買う事となった。
「ここら辺、よく歩くのにこんな店があるの知らなかった」
葉子が満足げな顔で言った。
「あそこだけタイムトリップしたみたいだったなー」
「ホント。いきなり昭和だったね」
「すぐにとり壊されちゃうんだろうなぁ、今まで残ってるってのが奇跡的だよな」
「……そんな風に言わないでよ」
悲しそうな顔だった。浩平はあんず飴を取り出して葉子に差し出す。
「とりあえず食べる?」
葉子はこっくりと頷いてあんず飴を手に取った。
あんず飴をなめ終わる頃、二人はアーバンビューに戻ってきた。
「じゃ、近いうちにドライブに行くからね。また、連絡する」
さっきの話は忘れていなかったようだ。
それだけ言ってスタスタと去って行く浩平の背中に向かって、葉子は「……私は行かないわよ!」と叫んだ。