正しい男の選び方
葉子は今度は店長の方を向く。
「店長、確かローストビーフが何本かありましたよね」
「表に一本、冷蔵庫に三本あったと思う」
「それ、全部出しましょう。用意始めて下さい。一本ずつ大皿に盛りつける感じで。あ、でも一切れずつは小さく切ってもらって」
「大皿は?」
「あ、ウチのを持ってきます」
と浩平が返事をした。
「ステーキも焼くだけだから、少し出しましょう。お肉ならたくさんあるし」
葉子は続けて言う。
「それから、チーズとオリーブを並べて。取りあえず食べるものが必要でしょ?
星野さん、チーズセクションの人に適当に選んで美味しいプレートを二つずつ作るように言って来て」
「わかった」
「野菜スティックも簡単だからだそうか。店長、セロリとにんじん、ありましたよね?」
「ある」
「じゃあ、総菜のところからディップを用意してもらって。
あの、コールスローに使うドレッシングを使ったらいいんじゃないですか」
「そうしよう」
「店長、そう言えば、マッシュルームのスープ、ありませんでしたっけ?」
「ああ……昨日入ってきた」
「それも出しましょう。温めるよう言ってもらえますか? ちょっと牛乳を足して量を増やしちゃいましょうよ。
そうだ! あの、冷凍食品のラザニアもプレートに移し替えて温めて出しちゃいましょう。
今月の販促品だから在庫、たくさんありますよね。あれなら、見た目も華やかだし、オーブンで焼けばいいだけだから。
星野さん、ケータリングのところに連絡とって、耐熱皿をいくつも持って来てもらって」
「了解」
浩平はメモをしながら、葉子の指示をどんどんさばいていった。