正しい男の選び方
葉子は、もったいないので、綺麗に出されていたものは、かたっぱしらからタッパーに詰替えていた。
やっぱり少しでもムダをなくしたい。
「何、セコいこと、してんの?」
浩平がそんな葉子をからかう。
葉子はムッとした。
「だって、綺麗に残ってるもの捨てるの、もったいないじゃないーー」
「アフリカの子どもは、食べるものがなくて栄養失調なのに、とか言うなよ?」
(うっっ、ホントムカつく)
「あのねぇ、アンタねぇ、確かに金持ちかもしんないけど、マジで、何サマだと思ってるわけ?」
「ハイハイ。オレが言い過ぎましたー。それより、この残り物、誰が食べるわけ?」
浩平はにやけていた。まるで葉子を挑発しているかのような言い草だ。
「だ、誰って、アンタに決まってんでしょうが!」
「えー、オレ、残り物とか食いたくないよ」
浩平は、明らかに葉子の反応を楽しんでいる。
(ああ、ムカつく。ホントムカつく)
その手に乗るもんか、と思いながらも、葉子の方も売り言葉をつい買ってしまうのであった。
「いいよ、じゃあ、私がもらっていくから」
「こんなにたくさん? ってか肉はどうすんのよ?」
「……」
浩平は意地の悪い顔をして、目をキラリと光らた。
「あー、肉、捨てちゃうんだー。もったいねー。
そーだよねー、長澤葉子は肉は食わないんだもんねー、環境に悪いから。肉を捨てるのは環境にいいんだー」
(ホント、何なの!? この男は!! ム・カ・ツ・ク!)
葉子は、囃し立てる浩平を無視して、残り物を黙々とタッパーに詰替えていった。