正しい男の選び方
それから何日かは平穏な日々が続いていた。
政好との関係もあれからぐっと親密になり、いい感じになってきている。
浩平さえ絡んでこなければ、葉子の人生は非常に順調なはずである。
そう……浩平さえいなければ……
ここ十日間ほど、浩平の姿を見ていなかった。だから、確かに、楽しく穏やかな日々が過ごせている。
まあ、このまま浩平が葉子の前に姿を現すことがなければ、これで、浩平との縁も切れるに違いない……。
そう思って、少し、しんみりするような、物足りないような、ほっとするような気分でいた時、しばらくぶりで浩平がスーパーに姿を現した。
金曜日の夜、女連れである。一緒にいる女はカナではなかった。
初めて見るその女は、明らかに女子大生で、浩平と一緒に大はしゃぎしている。
浩平の面白くもない冗談に、店内に響き渡る高い声で笑っていた。
「すごーい。私も一度プライベートジェットに乗ってみたぁい」
体をくねらせて浩平にへばりついている。浩平も鼻の下を伸ばしてにやけていた。
「じゃあ、今からハワイにでも行っちゃうー?」
「行きたい、行きたーい!」
一人できゃあきゃあはしゃいでいる。いかにも頭の悪そうな女子大生だった。