正しい男の選び方
浩平は、しょんぼりと肩を落として本当に悲しそうだった。
「そっか……」
「ん……オレ、カナが大好きだったんだよなー」
しみじみとした口調だった。
「……で? 何で別れたわけ?」
浩平は少し恨みがましい顔をした。
「んー、君が来たらすごく怒っちゃって……ホラ、パーティーの次の日。葉子が帰った後、ずーっとグチグチ言われてて」
「そりゃあ、あの状況だったらだれでも怒るよ」
「もう会わないで欲しいってはっきり言われたんだ……それで、そんなことは約束できない、みたいなこと言ったら大げんかになっちゃって」
浩平の身勝手な言い分に少し呆れた。
「なんでそんなこと言うのよ、バッカじゃないの?」
「……君にも自由に会いたいって思ったし。カナに嘘つくのもイヤだったし。そう言ったら、別れよう、ってあっさり言われた」
そらそうだろ。
あちこちの女にホイホイ会いに行く男なんてカレシとしては最低だ。
そんなの、小学生の子どもでもわかりそうなもんなのに、あけすけにいってしまう浩平は、
何と言うか……バカ正直で無邪気すぎる。
「彼女持ちの自覚がまったくないね」
「カナと同じことを言うんだね」
「今日みたいに、またいろんな女を連れ込んで楽しくやればいいのよ」
楽しそうに女を口説き落としている方が浩平らしい。
屈託なく陽気に女と連れ立っている浩平は……腹が立つけどどことなく憎めないところもあり、自分でもホトホト呆れるのだが、何となく許してしまうようなところがあった。
でも、それは、多分、自分が浩平の恋人だとか、そういう特別な立場ではないから、のん気に思えるのだろう。
だから、カナの気持ちを考えると複雑だった。
「……やってた。でも全然楽しくない。そんなことしてたら、葉子が恋しくなったんだ……すごく会いたくなった」
「やっぱりおかしいよ? どうしたの、浩平。ぜんぜんらしくない」
浩平は、ぽろりと涙を一筋こぼした。