正しい男の選び方
感謝祭のご馳走
11月も中旬になって、少しずつ慌ただしくなってきた。
ここから先、お正月を迎えて冬休みが明ける頃までが、一年で一番忙しい時期になる。
感謝祭に向けて七面鳥の予約を始めた。
どうしても本国式の感謝祭をしたいアメリカ人に向けて、ワールドフーズでは完全予約制で丸ごとの七面鳥を取り扱っている。
なかなか手に入らないらしく、今までのワールドフーズの実績もあり、ここのアーバンビュー店でも予約は上々であった。
浩平も七面鳥を買いにやってきた。
「ちょっと今年は七面鳥に挑戦してみようかと思って。あんま、うまくないから好きじゃないんだけどさ」
「っていうか、食べられるの、丸ごとなんて頼んで」
予約の受け付けをしながら、葉子は呆れている。
「数人呼んで食事会でもしようかと思ってさ。葉子も来てよ」
「え? 私??」
「うん。サンゴ礁と一緒においで。あと、店長も呼ぼうか、せっかくだし」
「っていうか、私、七面鳥なんか食べられないの、分かってる?」
「そうだった。こんな時ぐらいみんなに付き合って食べようよ」
「いや、だから、ムリだって。私は食べないの」