正しい男の選び方
葉子が初めて講演を聞きに行った時、アマゾンの森林がどれほど危機的状況なのかを知り、かなり暗澹たる気分になった。
特に、講演会の人が言った、酸素に色がついていたならば、どんどんその色が薄くなっていくのが見えるようになるはずですが、という話に、なんとも言えない恐怖を憶えた。
今、当たり前のようにしている呼吸が、困難になるかもしれない、なんて考えるだけで周りの酸素が薄くなる気がしてくる。
森林伐採の原因が、家畜のエサにするための大豆を育てるためだ、と知った時は、嫌悪感すら感じた。
食い散らかされていく肉。
そのために森林が破壊されている。
そして破壊された森林は二度ともとには戻らない。
人間は何と傲慢で罪深いことをしているんだろう。
こんな傲慢な生活をずっと続けられるわけがない。
そう思って、葉子は浪費的な生活を戒めるように暮らしている。