正しい男の選び方
その日の会合は、寄付金をどうやって集めるか、というような話し合いをした。
森林保護のための寄付が今年は目標まで届きそうもなく、皆頭を悩ませている。
結局、アマゾンの森林破壊のことなど誰も関心を持っていないのだ。
それよりも目の前の生活が大事。
安い肉が食べられればそれでいい。それが、アマゾンの森林を破壊したために出来たものであっても。
現に星野浩平がそんな風に言っていたではないか!
葉子は、浩平の言い草を思い出して、改めて怒りを募らせていた。
そんなことを考えていたら、葉子はただただ自分の無力さに愕然とする。
ぼんやりしていたら、司会者の緑川政好が商店街のお祭りに参加してはどうかという話をしていたのが、急に耳に入った。
新しく入ったメンバー、緑川政好が中心となって、このイベントについて話し合いをしている。
テントを用意して、着ぐるみを借りて、フェアトレードのコーヒーとローカルに仕入れたコーヒー菓子などを売ったらどうだろう、などと話して、盛り上がりを見せていた。
「この際、ロゴ入りのTシャツとかも売ったらどうでしょう?」
「さくら商店街の秋祭りは結構盛大にやるので、出店させてもらうよう頼むことってできないでしょうかねぇ」
少しずつ意見が出ていた。
なんだか、学園祭のノリのようで、葉子はだんだん楽しい気分になってくる。
葉子は知らなかったのだが、このイベントの案自体、政好が出したものらしい。
最初、メンバーはみんな半信半疑だったのだが、要所要所で的確な意見をだすので、メンバーのみんながすっかり乗り気になってきたらしい。