正しい男の選び方

政好は照れたように下を向いている。

「ビニール袋を使わないって? エコバッグを持参するってことですか?
……そんなにヘンじゃないですよ?」

「そう? いつでも水筒持参だよ。ホラ」

と言って、政好が見せたのは、二リットル入りのサーモのスポーツ用の水筒だ。

「……重くないですか?」

「重い。でも、今日みたいにいったん家出ちゃうと一日補充出来ない時なんかは持ち歩いてる」

「冬でも?」

「夏は二リットルでも心配。だからこの年になってもバックパックが手放せない」

確かに、政好は学生みたいなバックパックを持ってきていた。
それも、最近のオシャレボーイズが使うようなものじゃなくて、教科書とかノートをガンガン入れるような無骨なバックパック。

「……引いた?」

心配そうに上目遣いで葉子を見る。

「そんな、全然!」
「……良かったァ!」

安心したように笑う笑顔が素敵だった。


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