正しい男の選び方

「知ってる? 太平洋に四国ぐらいの大きさのプラスチックの島がぷかぷか浮かんでるところがあるんだ。

潮の流れの関係でどうも一定の場所に集まってくるらしい。
ちょうど、吹きだまりに落ち葉が集まるようにね。

でも、落ち葉とちがって、プラスチックの浮き島はなくならない。

どんどんどんどん大きくなって、そのうちサンゴ礁のところまで侵食するようになってしまうかもしれない……って、もちろん、これは僕の当たって欲しくない想像でしかないんだけど」

「それで、ビニール袋を買わないって決めてるの?」

「……まあね」

「なんだ! 私と同じような理由じゃない」

「……僕も、さっき君の話を聞いたとき、そんな風に思ったんだ。あ、この人は僕のこと、わかってくれるかもしれない、ってね」

少し俯き加減で照れながらぼそぼそと呟く。顔が赤いのは、きっとお酒だけのせいじゃないだろう……。

気がつけばあっという間に飲み会のお開きの時間。
店を出る時になって、葉子は政好としか話をしていないのに気づいた。それでも全然足りない。

もう少し、もう少し一緒にいたい……。


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