正しい男の選び方
店を出ると、皆は何となくばらばらしながら駅に向かった。
政好と葉子は無言で並んで歩いていた。駅に着くのが遅くなるよう、なるべくゆっくりと歩く。
「あの」
政好が意を決したように葉子に話しかけた。
「よかったら……あの、また、一緒に、食事でもどうですか?」
「……あ! はい! もちろん」
間髪入れずの勢いづいた返事だった。
何とか電話番号を交換して帰路につく。
あと50メートルでアパートにたどり着くというその時、電話がチリンと鳴った。
メッセージに違いない。
葉子ははやる心を抑えて、部屋に駆け込む。ケータイを取り出す間ももどかしい。
急いで家の中に入ってケータイを取り出した。
メッセージは、
ウマイ!
という一言に添えられたお高そうなお寿司を食べている浩平の写真だった。
……しかも、ハーフの美女と一緒に食べている。
……なんという当てつけ!これだから! 史上最悪のエピキュリアン。
葉子は、心の中であらん限りの悪態をついていた。
メッセージを見た途端に、さっきまでの高揚した気持ちはいっぺんで吹き飛んだ。