正しい男の選び方
「こじゃれた隠れ家的な店の方がいいなら移るけど?」
「うううん、こういうとこの方が落ち着く。フツーの人が何気なく一息入れに来た感じがして」
「じゃ良かったよ。今日はなんか気が立ってたみたいだから、あまり気の張るとこには行かない方が良さそうな気がしたから」
意外と鋭い。
「食べるもの、何頼む?」
浩平はメニューに目を通しながら聞いてきた。
「枝豆……と、トマトのパスタ」
「じゃ、オレはチキン頼んでいい?」
返事を聞かずに浩平はメニューを見てさっと注文をした。
「で、何があったの? 男からの連絡待ってるとか?」
やっぱり鋭い。
いきなりずばりと言われて、葉子ははーっとため息をついた。
「……当たり」
あっさりと白状する。
「へぇ、で、どんなヤツなの」
「うん、すごく素敵な人。大学でサンゴ礁の研究をしてるんだ」
「ほぉ、サンゴ礁ときたか」
「サンゴ礁の生態を研究してて、それで、海洋汚染のことを真面目に考えてるの」
「あー……そっちの方に話が行くわけね」