正しい男の選び方

「で、そいつのことが好きなんだ」

「……そこまでの仲じゃないんだ。残念ながら」

葉子は、心のひもがほどけていくように、するすると思っている事を口にしていた。

気がつけば、今日一日ケータイの連絡を待ってたことも浩平に告げていた。
何でだろう……ポンポンと思った事を口にする浩平だったから、葉子も返って遠慮しないで話ができる。

「確かに一回会って話しただけだし、でも、向こうから番号聞いて来たのよ? 普通は連絡するわよ……ねぇ?」

「まあ、オレだったら、次の日まで待てないけどな」

「あなたと一緒にしないでよ」

「だって、早いもん勝ちだろ、こういうのは」

「うわっ……早いもん勝ち?」

「そうだよ。もたもたしてたら誰かに取られちゃうよ」

ビールをごくごく飲むと割りと真面目な顔で葉子の顔を見た。

「連絡してみたら?」

「え?」

「メッセージ送ったら? ケータイの番号はもらってるわけだし」

「こっちから?」

「だって、今日一日ウジウジしてたんだろ。それに、向こうだって悪い気はしてないはずだろ」

「……そう思う?」

葉子は不安そうな顔だった。

「思う」

浩平は確信しているようににっこりと笑う。ずいぶんと勇気づけられる笑顔だった。


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