正しい男の選び方
「何て言ったらいい? 『この前は楽しかったです』とか?」
「何でもいいから、とにかくアクション起こせ」
葉子はケータイを取り出す。メッセージを打とうとしてやっぱりドキドキして手が震えた。
浩平がそっと右手を重ねてくる。
「大丈夫。落ち着いて」
「……」
ふうっと深呼吸して葉子はメッセージを入れた。
こんにちは。夕べは楽しかったです
ピッと押して、メッセージは送信された。
「はぁー」
葉子が気のぬけたように息を吐いた。
「緊張した……」
葉子がそう言うと、浩平が葉子の背中をさすってくれた。
「取りあえず飲もう。ほら、パスタも来たし」
勧められるままに、パスタを一口二口、口に入れた時、ケータイがチリンと鳴った。
「……来た!」
二人の視線がケータイのスクリーンに注がれる。
こちらこそ楽しかったです
「これだけ!? ……どうしよう、どうしたらいい?」
「単刀直入に『日曜日あいてますか』って誘えよ」
「いきなり?」
「デートしたいんだろ? その気があるならはい、って返事が来るし、気がないなら断るだろ。はっきりしていいよ」
「だって……断られたらどうしよう?」
「君は可愛いし、相手はエコオタクだぜ。断るわけないだろ」
なおも黙っていると、
「勇気だせよ。大丈夫だから」