正しい男の選び方
「はー、もうダメかも。何か、全然連絡が来ないの」
ワインを飲んで、ミートローフを一通り食べてすこし落ち着くと、葉子はようやく政好のことを口にする元気が出て来た。
「六角公園の首尾はどうだったの」
「うーん。別にいい感じだったと思うんだけど」
「寝たの?」
何でもないような顔をして聞くので、葉子は思わず口に含んでいたワインを吹きそうになった。
「なっ……ア、アンタに関係ないでしょ」
「ってことはまだか。じゃ、これからが勝負じゃないの。ま、ガンバレ」
人ごとのように言う。
「……慰めてくれるんじゃなかったの?」
「やってもないんじゃ、それ以前だろ」
「アンタの方こそどうなのよ。この前の女とはどうなったのよ」
浩平の言い方が面白くない。
葉子は思わず反撃にでた。すると浩平は急に情けない声を出した。
「聞いてくれよ……それがさ、スプラッシュマウンテンのとこでばったり会っちゃったんだよなー」
「誰に」
「元カノに決まってんだろ。……そこは察しろよ」
「……ああ」
「しかも、真後ろに並んで。2時間半。針のむしろとはこのことかとオレは思ったね。
ファストパスのチケット手配しとくんだったって心から後悔したよ、オレは」
「元カノは誰と来てたの?」
「その前につきあってた彼女……」
「はあ!?」