正しい男の選び方
さすがに、葉子はトンデモナイ奇声をあげた。
「っていうか、元カノとその前の彼女が何で仲良くディズニーランドに行ってるわけ?」
「こっちが聞きたいよ」
浩平ははあと大げさにため息をついた。
「よく大げんかにならなかったね」
「それがさ、オレの悪口で妙に盛り上がってるんだ」
さもありなん、と葉子は思う。
浩平のことを良く知らない葉子でさえ、何人も違う女を目撃している。ましてや彼女だったなら、浩平の女関係のことはどこからとなく耳に入っていただろう。
何人もの女に囲まれて小さくなっている浩平の姿が目に浮かぶ。
あちこちの女に手を出していい気になっているようで、彼女たちに頭の上がらない浩平のマンガのような情景になんだかおかしさが込みあげてくる。
「何言われたの?」
「女にだらしない、とか。口ばっかり、とか。ひどくない?」
同情を求めるように上目遣いになる浩平。
「その通りじゃない」
葉子のつれない態度に、浩平はさらに言葉を重ねた。
「フェラーリに騙されちゃだめだ、とか、オレの言う事は信用できないから、他に女がいないかきちんと確認するように、とか、スマホは三台ぐらい持ってるはずだから油断するな、とか言うんだぜ? ケータイなんか三台も持つはずないっつーの、メンドクサイ」
葉子は思わず大声で笑ってしまった。
浩平はむっとした顔をする。
「オレのせいじゃないよ。世の中にいい女が多過ぎるのが悪いんだ」
「全部試さないと気がすまない?」
「それが出来ればどんなにいいか」
「……呆れた。結局自業自得なんじゃない」
「かもね。あの日は彼女が怒っちゃってせっかくのデートがぶち壊しで、なだめるのが大変だったんだ。
とにかく、オレに比べればずいぶんとゴキゲンな週末だったんだから、そんなに落ち込むなよ」
妙な慰められ方をしたものである。