正しい男の選び方

「何がですか?」

「いやね、僕、いつも女の人から、『私のことなんてどうでもいいと思ってるんでしょう』って怒られるんですよ。
 女の人ってどうしてすぐにそんなこと言うんだろう、って思ってたんですけど……。
 連絡を取らないからだったんですね。なるほど……」

「……会いたい、とか思わなかったんですか?」

政好は、なるほど、などとのん気に感心しているが、葉子にしてみれば、付き合っている彼女に連絡を取るという発想がない方が不思議である。

「いや、それは、もちろん会いたいんですけど……。
 忙しくて連絡をとるヒマがない場合はどうすればいいんでしょうかねぇ?」

どうすればいい、って、いっても、葉子にしてみれば、忙しいのであればこそ、余計にコミュニケーションをちゃんと取る事が大事なんじゃないのか? と訴えたいぐらいなもんであった。

政好が何の悪気もないらしいということだけは分かるのだが、しかし、これではまるで自分の一人相撲のような気がしてくる。

ところが、その時、政好は、何かに気づいたのかはっとしたようにぼそりと呟いた。

「あの……もしかして、長澤さんも僕と連絡が取れなくて、あの……その……残念に思ってました?」

政好は気まりの悪そうな顔で葉子の顔を覗いている。

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