正しい男の選び方

ところが……

初日のその日、全然売り上げが伸びなかった。

何と言っても雨だったのが響いた。9月の終わりにしては、肌寒い不景気な天気で、雨足も午後から強まった。
だから人が少なかった。隣りの総菜屋のおやじさんも、顔を青くしている。

閉めた後に、売り上げを数えてみたが、予定の三分の一ほどで、寄付に至っては、13015円と甚だ心もとない金額であった。

「赤字になりそうだ……やっぱり計画が甘かったのかなー」

政好ががっくりとうなだれている。

「まだ、明日もあるし、最後までやってみないとわからないよ?」

葉子が慰めても、政好は頭を抱えるばかりだ。

「私、明日来てくれる人がいないか、ツイッターとかで呟いてみるよ」

「そうだね……」

政好は力なく呟いた。

家に帰ると政好からメッセージが送られてきた。

    明日も一日中雨みたい

葉子は何とか慰めたかった。

    天気予報が外れることを祈ってよう!

政好からまたすぐに返ってくる。

    予報の的中率は80%超えてるんだよ

      ーーでも、私はすごく楽しいし一緒にできて良かったな、って思ってるよ。

せめて慰めるつもりで送り返したメッセージだった。


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