正しい男の選び方
責任ないヤツは呑気でいいよな……
しかし、政好からこんなメッセージが来てしまっては、葉子には、それ以上何て返せばいいのかわからない。
元気づける言葉など見つけられない気がする。
一日中動き回って、ぐったり疲れていたし、明日もあるので、もうそのままにして寝てしまおう、と思った。
……が、眠れない。
今日一日の政好の機嫌の悪さや、明日の天気のことなどを考え始めたら、布団の中でますます目が冴えてくる。
体も神経もヘトヘトに消耗しているのに、全然眠りにつくことが出来ず辛かった。
しばらく布団の中でもぞもぞして、それから……電話をかけた。
「はい」
夜の12時を回っていたのに、浩平はすぐに電話にでた。
「もしもし……」
「どうしたの、葉子。こんな時間に」
いきなり電話したのに「葉子」なんて何でもないようにさらりと言うところが浩平らしい。
「うん。電話して大丈夫?」
「大丈夫だよー。何、サンゴ礁とケンカでもした?」
何か鋭い。
「いや、ケンカじゃないんだけど」
「そう言えばさ、さっきMHK特集かなんかで、『温暖化する地球』とかやっててつい見ちゃったよ」
浩平は急に話題を変えた。
「どうせバカにしながら見てたんでしょ」
「っていうか、ずっと葉子のこと考えてた」
意味深な言い方にどきりとする。
「君はいっつも、牛肉を食べたら森林が、とか考えて毎日暮らしてるのかなー? って思ったらね、疲れそうだな、とかね。嫌にならない?」
浩平はさっくりと軽く言うが、テンションの下がってる葉子にしたら、ぐっさりと突き刺さる。