正しい男の選び方
そんな風に半日が過ぎたころ。
「相変わらず熱心に訴えてるなー……」
冷やかしながらやってきたのは浩平だった。
「星野さん!? どうしてここに??」
「どうして……って、スーパーにチラシが山のように置いてあったじゃない。カナが見つけて、覗いてみたい、っていうからさ」
隣りには、綺麗な女がにこにこ笑いながら立っている。確かにカナだった。カナはチラシやTシャツを熱心に見ている。
「このエコバッグ、おしゃれじゃない?」
「あ!このバッグは、一応、アマゾンの森林がどんどん減って行く様子をイメージしてみたんですけど」
葉子が説明すると
「あー、それで……Save the forest ってメッセージが入ってるのか」
浩平もバッグを手に取って納得したような顔をしている。
「買ってもいい?」
カナが財布を取り出す。
「……ん? ああ、ちょっと待って。オレが買うよ」
浩平がカナを制して、葉子の方を向いた。
「Tシャツ20枚、バッグ30枚くれる?」
「へ?」
葉子は目を丸くした。
「あ、やっぱりTシャツも30枚」
「はい……ありがとうございます」
キツネにつままれたような顔でお礼を言う。もたもたしながら商品を袋に詰めていると恵が横から手伝ってくれた。
「すごいね、一気に30枚ずつ売れちゃったよ。誰?知り合い?」