たった一つの忘れ物（仮）

飲食店に向かう途中―――

「てかさ…優奈、何処で３人も男捕まえたん？」

少しニヤケながら沙耶が言う。

「ちょ、捕まえたとか変な言い方せんといてよ!!こないだ街歩いてたら一人の男の子に声掛けられてん。んで合コンせぇへんかって。それがむっちゃ格好良くてなあ～！」

沙耶の言葉に一瞬焦りを見せた優奈だったけど、合コン相手の話になると、目を輝かせながら嬉しそうに話した。

「へぇ～すごいやん!!そのイケメン君を見てみたいわ～」

「アカンで!!あたしが目ぇ付けてんから!!って、ここ、ここ!!多分彼ら来とんちゃう？」

優奈が足を止めたそこは、商店街の反対側にある“”同時に合コンの場所はここ…お好み焼き屋らしい。
合コンにお好み焼き屋って…笑
少し吹き出しそうになったが、ここは堪えて心で笑った。

「あ、あそこや!!ぉお～い」

そう言って馴れ馴れしく手を振る優奈がすごいと思った。彼らも歓迎するかのように手を振ってくる。

「ごめんな！遅なって」

優奈は手を合わして「ごめん」のポーズをとった。

「ぇえで。それよりみんな可愛いやん！優奈ちゃんに声掛けて正解やったわー！」

「本間!?水島くん達もめっちゃ格好良いやん!!」

ﾊｼｬｷﾞながら奥の椅子に座る優奈に続き、あたし、沙耶の順に座る。

「じゃあ、まず自己紹介と行きますかあ！俺は水島恭平。一応サッカー部出身。よろしく!!」

「俺は早坂海斗。同じくサッカー部出身。よろしくな！」

「田嶋亮太。軽音楽部出身。よろしく！」

３人の自己紹介が終わり、その後あたし達も自己紹介をした。