春の扉 ~この手を離すとき~
「しっかしさぁ、文化祭で燃え尽きた直後に期末テストとか。こんな仕打ちねぇっての」
本日の勧誘をあきらめた健太郎くんは、冷めたポテトを2本同時に口の中に放り込みながら愚痴りはじめた。
「でも、これが終わればすぐに冬休みだからね」
「……、だな!」
智香がはげますようにフォローすると、健太郎くんはすぐに笑顔になった。
さすが、幼なじみ兼マネージャー。
この場合の健太郎くんのやる気を引き出すのは、楽しみをちらつかせる方法が的確だと瞬時に判断したみたい。