春の扉 ~この手を離すとき~
「てか俺たち、昨日は駅前のイルミネーション見てきたよ」
「めっちゃ綺麗だったねー」
勉強の話はこりごりと言うふうに純輔が話題をかえて、文乃と笑いあった。
ラブラブな2人のそんな仕草を見るたびに、健太郎くんはまたじわりと体を寄せてくる。
このままだと本当にソファから落ちてしまいそう。
「冬休みに入ったらみんなで行こーよ 」
「イブは、イブ? 」
文乃の提案に健太郎くんがすぐに乗っかった。
駅前のクリスマスのイルミネーションは有名で、毎年地元のニュースに取り上げられるほど。
もちろんわたしもみんなと見に行きたいけれど。
でもイブって12月24日か……。
智香が気にしてわたしに視線を送ってくれた。
わたしは笑顔をつくって首をふると、智香はすぐにその意味を察してくれた。