春の扉 ~この手を離すとき~

木に話しかけているなんて、他の人が見たら変だと思うんだろうな。


「……さてと、」



わたしは立ち上がると桜の木のウロを確認した。
その中には、まだ何も入ってはいなかった。


「今回はお返事くれないの? 」


少しだけ寂しいけれど、手紙は必ず届くはず。
わたしはわざといじけたふりをして首を傾けながら桜の木に話しかけると、持ってきたクリスマスカードを中に入れた。










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