春の扉 ~この手を離すとき~

「本当にごめんね。健太郎は心配しただけなんだとは思うんだよね。悪気はないんだけど強情っていうか頑固っていうかバカっていうか」

「……どうして智香が謝るの? 」

「んー? 幼なじみの腐れ縁かな。まぁ今回はあいつが反省してから謝るべきだとは思うけれどね」


智香の笑顔が少し悲しそう。
やっぱり智香は健太郎くんのことを分かってあげているんだね。

2人には別れたいことをちゃんと話をした方がいいのかもしれない。


「あのね、」

「あ、やばーい戻らないと! 美桜また明日ねー」


わたしが話そうとすると、文乃が体育館へと向かうバスケ部の顧問に気がつき、わたしの腕をパッと離した。


「本当だ、やばいじゃん。文乃走るよっ」


続いて智香も気づいたらしく2人は体育館へと向かいはじめた。


「うん、がんばってねー」


わたしは体育館へと向かう2人の背中に手を振りながら見送った。









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