春の扉 ~この手を離すとき~
わたしは押しつけるように、先生に資料を渡した。
「好きでもない人と付き合うことになって、友達との関係も壊さないようにって気をつかって、祖母や心の支えになってくれてる人を変な風に言われて……。なのにわたしが悪いんですか?」
結局はわたしの気持ちなんて誰も考えてくれない。
どうして健太郎くんの気持ちばかりが大切にされるの?
それに『付き合えない』と伝えているのに。
それなのにわたしが悪いの?
なんだか悔しくなってきてしまう。
「ほら言えた」
「……え? 」
嬉しそうな先生に驚いてしまう。