春の扉 ~この手を離すとき~

待って、もしかして智香って……


いつから?



ズキッと心が痛んでくる。


ああ、そうなんだ。
こんなことならやっぱり付き合うべきじゃなかったんだ。



「あー、なに健太郎。プレゼントまで用意して美桜に謝ってんのー?」


何も気がついていない文乃はからかうように健太郎くんをつついたけど、健太郎くんはそれでも頭をあげようとはしない。



「美桜、もう許してあげなよー。健太郎は心配だったから相手を警戒しただけなんだよ。ねー、智香」

「……うん、そうだね」


わたしが智香を見ると、一瞬目があったけれど今度は智香が視線をそらした。

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