春の扉 ~この手を離すとき~

「やった、許してもらえたじゃん健太郎」


よろこぶ文乃と、やっと頭をあげた健太郎くんはホッとした顔をしていた。


「美桜、本当にごめんな、俺が全部悪かったから。これからもよろしな」


よろしくか……


「……、」


わたしは返事をすることも、うなずくこともできなかった。


「ほらもういいでしょ? 早く部活に戻るよ」


声を荒げて健太郎くんをせかす智香。
自分では健太郎くんが頭をあげてくれなかったことへの不満が、ひしひしと伝わってくる。


「俺、今日休むわ」

「は? 何を言っているの? 試合近いんだよ? 」

「せっかく美桜と仲直りできたんだし。今日ぐらいいいじゃん」


健太郎くんの予想外の返事に驚きを隠せない智香を文乃がなだめ始めた。

それって健太郎くんとわたしがこれから一緒に帰るってこと?
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