春の扉 ~この手を離すとき~
マンションに帰るとホッと一息ついた。
もしかして顧問の先生たちとの話が早くに終わって、健太郎くんが追いかけてきたらどうしようかと思って、早足で歩いたし。
今日は先生と2人で会えるのだから、健太郎くんのことを考えるのはもう止めよう。
時計を見ると、先生との約束の時間まではまだかなり時間がある。
けれど気持ちは待ちきれないみたいで、胸の鼓動は秒針が進むたびに早く、そして高鳴っていく。
よし、がんばろう!
わたしはファッション雑誌とスマホ、そして化粧ポーチを鏡の前に並べる、メイクとヘアスタイルの実践に取りかかった。